トツギーノの笑いの構造



今年のR-1グランプリのネタも珠玉だった天才バカリズムさんの傑作トツギーノを久しぶりにみて自分なりに分析してみたよ。


トツギーノというだけに、女性が「嫁ぐ」という行為をオチとしています。この「嫁ぐ」という行為は、一般的に女性の人生の一つの節目であるという共通認識があると思います。この共通認識があるからこそ、笑いの節目である「オチ」のキーワードとして効いていると思います。


分かりやすく言うと、「あいつ、色々あったけど、結婚したよね!」みたいな、なんでも話の締めくくりを結婚にしてしまうあるある感があるからこそ、トツギーノをオチとしてチョイスしている(もちろん言葉自体が持つ音のオモシロさも前提だと思われる)。そんなオチであるトツギーノまでの展開はこのようになっている。


通常、嫁ぐまでの展開といえば、恋愛ドラマにあるようなデートしたりプロポーズしたりというようなベタな出来事を人は連想します。しかし、このネタではオチまでの展開を、直接「嫁ぐ」に結びつかない行動の羅列、まったく連想させない事を数珠繋ぎのように重ねた後、強引にトツギーノに結びつけることで笑いを生んでいる。「嫁ぐ」と関係ないじゃん。という笑い。


つまり、このネタは人生の一つの着地点である「嫁ぐ」までの経過を極端に短縮化する事で笑いが生まれている。
あと、松本人志さんのものごっつええ感じでやったコント「経て」も近いニュアンスの発想だと思う。