モニタリング巧者

モニターを見ながら喋る。これを得意とするタレントがいる。ねるとん紅鯨団の石橋貴明。ロンドンハーツの敦。新旧のモニタリング巧者の二人である。先駆け的存在の石橋貴明の特徴は、古館伊知郎を標榜とするダイナミックな「実況」スタイルにある。「ごめんなさいだ〜！」「まさに、大、どんでん返し！」。過剰な状況描写と迫力のあるイントネーションによるものが主である。彼のオモシロの土壌は、モハメッド・アリやハルク・ホーガン、猪木とか、そんな前へ前への「おらおら」が核となっている。
一方、敦さんの特徴は、レクター博士に他人の不幸という甘い蜜を溶かしたような「心理描写」にある。モニター越しに、その対象の本心を暴いていく。つまり「ぶっちゃけてしまう事」を敦は面白がる。さらにもう一つ武器がある。モニター内の対象へのイヤホン越しによる「指示」である。次の展開をスリリングなものとすべく対象に次の動作の指示を与える。

両者の芸人としてのスキルの優劣がどうこうの話ではない。その人が何を面白がるかの話。だよ。